太陽光発電モニタリング・評価についての国際規格(IEC 61724-1:2017)解説

太陽光発電システムの性能監視に関するIEC規格「61724-1」が改訂されました。2017年2月に公開された現行版では、「精度クラス」が定義されました。適合宣言において、提供者は測定の精度等級を明記することが求められます。このクラスは、使用するハードウェアだけでなく、品質チェックや測定手順によっても決定されます。この規格には、モニタリングシステムの構成について詳細な仕様が含まれています。このメモでは、日射計の選択に関する新規格の影響についてコメントしています。また、日射量測定の要件とどの日射計が適合するかを示しています。

はじめに

IEC 61724-1: 太陽光発電システム性能監視-測定、データ交換及び分析のための指針-の初版は2008年に発行されました。現在では更新されています。最新版である2017年版の規格は、2008年版とは根本的に異なっています。新しい規格は、測定システムの構成と手順(2008年版と同様)を定義するだけでなく、測定誤差を規定の範囲内に収めることを目的としています。これは、モニタリングシステムの精度クラスを確立することで実現されています。

新規格の主な内容は以下の通りです。

  • 日射計の 3 つの精度クラス(A、B、C)。
  • クラスごとのモニタリング機器の精度要件
  • クラスごとに要求される品質チェック(校正やメンテナンス頻度など)
  • PV システムの規模に応じた推奨最小使用計測器の台数

影響

2017年版の規格では、太陽放射照度測定が各測定項目の中で、その精度担保が低いことを論じています。この規格では、モニタリングシステムの各クラスについて、必要な機器のヒーティング、方位角、傾斜角の精度を含め、使用しなければならない日射計クラスを規定しています。また、日射計の清掃と校正の間隔も定義しています。この規格は、モジュール温度、気温、風向風速、汚れ率、および(ACとDC)電流と電圧の測定のための要件も定義しています。

なぜヒーティングと(ファンによる)通気が必要なのか?

IEC 61724-1:2017では、Class Aでは日射計のヒーティングと通気、Class Bはヒーティングのみとされています。日射計ドームはガラスでできています。晴れた夜に空を向くと、ガラスの温度が露点以下になりやすく、ドーム表面に結露が発生します。日射センサーのヒーティング・通気により、ガラス温度は露点以上に保たれ、露や霜が付着することを抑制できます。これにより、測定データの信頼性が大幅に向上します。

SR30 is the only pyranometer compliant in its standard configuration with IEC 61724-1 Class A systems
図1 結露および結霜: RVH™機能を搭載したSR30-M2-D1 (前面) およびヒーティング無しの日射計(後面)

以下の表は、IEC 61724-1モニタリング分類システムの主な要素、日射測定に対する要求事項、どの日射計がどの精度等級に適合しているかの概要を示しています。

表1  IEC 61724-1で分類される監視システムの主な要素
CLASS A CLASS B CLASS C
精度
用途 太陽光発電所規模 大型商用PVシステム 小型PVシステム

 

記事全文はこちら:

IEC 61724-1:2017 for PV monitoring: what is new? a quick explanation (PDF)

The new IEC 61724-1 standard for PV monitoring systems: pyranometer purchase consequences (PDF)